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希望日本賛同議員国会発言データベース

賛同議員の国会での各会議・委員会における発言がご覧いただけます。

(議員の所属政党は、委員会等での発言時のものとしています。

また、名前の前に※印がついている議員は、以前の賛同議員です。)

羽田雄一郎先生のご訃報に接し、衷心より哀悼の意を表します。

発言の詳細を表示します。


議員名松沢成文(日本維新の会)

2019年5月23日

委員会名参議院 文教科学委員会


「私はまず、この法曹養成制度ができた経緯、特に法科大学院ができた当時の議論から始めたいと思うんですが、まず、今年二月に発売されたある経済誌に、法務省の元幹部の話を交えて以下のような趣旨が掲載されていて、私は非常に興味深く感じたんですが、ちょっと読み上げます。法務省は当初、アメリカのロースクールをモデルに制度設計をしようとしたが、これに法学部を抱える大学と文部科学省が反対した、アメリカの大学には日本の法学部に当たる学部がなく、新設する法曹養成機関がアメリカ型になってしまうと既存の法学部を潰すことになるのではないかと大学と文部省側が危惧したと、そして、法務省は妥協し、結局、法学部の上に法曹養成学校である法科大学院をつくるという屋上屋を架す形を採用してしまったと、こういう指摘があったんですね。なるほどなと思いました。このように、法学部の上に更に法科大学院をつくるという法曹養成機関をつくること自体に私はこの失敗の根本的な原因があったんじゃないかと思います。アメリカのロースクールのように、大学の中の法曹養成コースをつくって、そこを出れば司法試験を受けられる。実務家を大学時代から育てられるわけですね。この屋上屋を重ねて大学院にしてしまった、ここの失敗からあったんじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。」 「次に、司法制度改革に合わせて二〇〇三年に施行した法律、法科大学院の教育と司法試験との連携などに関する法律では、司法試験に関して、法科大学院における教育との有機的連携の下に、裁判官、検察官又は弁護士になろうとする者に必要な学識とその応用能力を有するかの判定を行うということを求めています。しかし、法科大学院で教えた経験のある多くの教授や実務家教員からはこういう声が出ているんですね。法科大学院は文科省、司法試験は法務省、実務を学ぶ司法修習は最高裁判所と所轄が分かれており、縦割りで分かれており、余りにも連携が取れているとは言えないと。この縦割りがあるのでこの改革なかなか進んでいないんじゃないかという認識なんですが、この認識には大臣はいかがお考えでしょうか。」 「次に、予備試験というのが導入されました、法科大学院ができた後にですね、二〇一一年頃だったでしょうかね。この目的は、元々、経済的な事情で法科大学院に進学できない人たちのためにつくったということで、これは特別な受験資格はなくて誰でも受けられると、そして合格すれば法科大学院修了と同等にみなされて司法試験を受けられるために、法曹への近道として大変人気が出ていると。今、どんどんどんどん予備試験合格者の司法試験合格率がどんどんどんどん高まっているわけですよね。それで、文科省と法務省が司法試験合格者上位の法科大学院を持つ大学に実施したアンケートでは、衝撃的な結果が出ています。予備試験を受験する理由について、少しでも早く法曹資格を取りたかったからというのが六〇%を超えちゃっているんですよ。とにかく早く弁護士さんなり法曹者になりたいから予備試験を受けたというんですね。その制度の目的である経済的な問題では、経済的余裕がなく法科大学院に進学できないから予備試験を受けたという学生は一五%にとどまっているんです。このことからも、時間を節約して経済的な負担も軽減できるバイパスコースとして予備試験が活用されている実態は明らかだと思いますね。むしろ、経済的な理由よりも時間節約で、早く法曹者になりたいからこっちの方がいいじゃないということでみんな流れてしまっているわけですね。二〇一五年六月の法曹養成制度改革推進会議の決定は、このように制度趣旨を見失った現状を鑑みて、本来の趣旨を踏まえて予備試験制度の在り方を早急に検討し、必要な方策を講ずるというふうに述べています。そうであれば、今回の法改正の中に、予備試験の受験者に例えば資格制限を設けたり、あるいは司法試験の合格者の中のクオータ制で、これ国家試験ですからここまでやることについては議論があるかもしれませんが、法科大学院出身者は八割、あるいは予備試験経てきた人は二割とか、こういうクオータ制を設けるなり、あるいは予備試験の皆さんの経済的な困窮度というのを一つの予備試験の受験資格にするなり、何らかのやはりハードルを付けていくという方向も考えられたんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。」 「法曹養成制度改革をプロセスとしてやっていくというのであれば、予備試験の改革も一緒にやっていかないと私は成果が出ないんじゃないかなと思っています。さて、法科大学院の方ですけれども、現状では、未修者、既修者を問わずほとんどの法科大学院生が、実態としては、伊藤塾だとか、辰已法律研究所だとか、LEC東京リーガルマインドといった民間の司法試験予備校の講座や答案練習会を利用して一生懸命勉強していると聞いています。このこと自体が、法科大学院の講義が司法試験の合格に十分結び付いていない。だから、みんな法科大学院に行きながら予備校に一生懸命通っちゃっているわけですよ。これ、完全な制度の方向、趣旨と矛盾した実態があるわけですね。ある意味で法科大学院が予備校化していると言いますが、予備校にもなっていないわけです、法科大学院は。ほかの民間の予備校に行っているわけですから。このような実態を大臣はどう認識しているんでしょうか。」 「多くの法科大学院が行き詰まったのは、これまで御指摘があったように、教育体制が整わない大学院までもが参入して乱立を招いたということが要因と指摘されています。当初は二、三十校と見込まれていた学校数は、制度開始時点で一挙に七十四校まで、うちもやる、うちもやるって膨らんだわけですね。関係者は、当時を振り返ってこう言っています。文部科学省の基本的なスタンスは、準備をしていれば設置を認めるという方向だった、結果的に合格者を出せるかどうか不安な大学の申請も含めて全て認めてしまったと発言しています。その後の急激な志願者の減少だとか、あるいは半数近い法科大学院が撤退する現状を見る限り、審議会の意見書発表から僅か三年でスタートしてしまったこの制度設計が不十分で、甘い見通しに基づいていたと言わざるを得ないんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。」 「さて、二〇〇二年に、政府は法科大学院の創設に当たって、先ほど小川委員からの指摘がありましたけれども、司法試験合格者三千人を目指し、法科大学院修了者の七、八割が合格できる教育を行うとしました。司法試験合格者を二〇一〇年頃に三千人まで増やす閣議決定をしましたが、その後、二〇一五年に合格者目標を三千人から千五百人に下方修正しました。そもそも、政府が合格者目標を三千人とした根拠は何でしょうか。また、当初は七、八割に達すると予想された司法試験合格率が、これどんどん下がっていった理由は何だというふうに分析していますでしょうか。重複しますが、もう一度お答えください。」 「法科大学院創設当初からあった入学者に占める未修者や社会人の割合を三割以上とする努力目標が昨年見直されましたが、その理由は何でしょうか。」 「法学を本格的に学んだ経験のない学生を主な対象とする未修者コースで、昨年入学した社会人経験者は百四十人にとどまっておりまして、実はこれ、制度の初年、二〇〇四年の制度発足時の一割をも下回っているんですね。社会人経験者を含む未修者コースの入学者が激減した理由と、未修者コースを存続させる必要性についてはどのように分析をしているか、また、未修者コースが担うはずだった多様な人材へ門戸を開くという役割を実はもう予備試験の方が担っているというこの皮肉な現象が起きていることをどう考えますでしょうか。」


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