希望日本研究所とは、「希望あふれる日本」にするためには何をすべきかを常に考え、提言し、実行していく場所です。

希望日本賛同議員国会発言データベース

賛同議員の国会での各会議・委員会における発言がご覧いただけます。

(議員の所属政党は、委員会等での発言時のものとしています。

また、名前の前に※印がついている議員は、以前の賛同議員です。)

羽田雄一郎先生のご訃報に接し、衷心より哀悼の意を表します。

発言の詳細を表示します。


議員名越智隆雄(自由民主党)

2019年6月14日

委員会名衆議院 財務金融委員会


「本日は、今金融庁から説明がございました報告書について質問をさせていただきます。まず、この報告書が扱っております高齢化と金融というテーマは世界的なテーマだと思っておりまして、昨日も、報道を見ておりましたらば、ダボス会議、世界経済フォーラムでもきのう付で老後資金についての報告書が出たという話がございましたし、また、G20の枠組みでも議論されていて、G20の財務トラックにおきましても、高齢化の課題、政策対応、こういうことが先日議論されたと聞いております。ただ、一方で、この報告書については、表現ぶりや言い方などが不適切じゃないかなどと多くの指摘がありまして、こうした中で、この委員会で金融庁から説明を求め、これから質疑に入るということでございます。冒頭申し上げたいことは、この報告書は、あたかも老後、月五万円赤字になる、老後のためには二千万円必要だというふうに思わせる文書を政府の会議体が公表したということでございます。年金をもらうためには、年金保険料を真面目にこつこつ払わなければなりません。そして、その上で、二千万円の貯蓄がないと老後が安心して暮らせないととられかねない文書になっている。多くの方々に不安な気持ちを抱かせたんじゃないかと思います。この高齢化と金融というのは本来とても重要なテーマにもかかわらず、今回の報告書がこういった騒動を引き起こしてしまったことが心から残念でありますし、憤りさえ感じるところでございます。私の気持ちを申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。冒頭、この報告書の狙いについて金融庁から聞こうと思ったんですが、今説明がありましたので、この質問は飛ばさせていただきます。幾つか基本的なことを確認してまいります。議論の場は金融審議会の市場ワーキング・グループだったわけでありますけれども、この設置根拠と開催状況について確認したいと思いますが、金融審議会のもとで金融分科会が置かれて、そのもとにワーキンググループが置かれているということだというふうに理解をしておりまして、会議の開催につきましては、去年の九月から今月まで十二回開催されているものだと思います。これは確認です。その上でお伺いしたいんですが、この報告書は誰がつくったのかという問いに対してどう答えるのかということであります。メンバーの名簿を見ますと、座長、そして委員が二十名、また、オブザーバーとして官庁やあるいは団体が十三並んでいるわけですが、金融庁はそこに入っていないわけですが、これは、政令の中で、金融庁はワーキンググループの事務局を務めるという趣旨の文言がありますけれども、そういう理解でいいのか、確認させてください。」 「一つ目の論点、五万円、また二千万円の問題について、報告書の記載をまず確認したいと思います。報告書の第一章に「現状整理」とあります、環境変化について述べられた部分でありますけれども、平均的収入と支出のところに、毎月の赤字額は約五万円となっているというふうに記載をされております。収入二十一万、支出二十六万、差額が五万ということです。これが一つ目でございます。次が、同じ章に、金融資産の保有状況のところで、不足額約五万円が毎月発生する場合には三十年で約二千万円の取崩しが必要となるというふうに記載されています。これが二つ目でございます。そしてその上で、三つ目ですが、第二章「基本的な視点及び考え方」の冒頭に、長期化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要という項目がありまして、そこにこの五万円、二千万円の話が改めて記載されていて、いわば二章以降のこの報告書の議論のベースになっている、このことが三つ目でございます。ですから、五万円の話、二千万円の話、その上で、どうしますか、どうしましょうかというこの三段ロジックがこの報告書の骨格になっているというふうに思っております。私はそういう理解なんですが、まずは金融庁に見解を求めたいと思います。」 「今御説明をお伺いしましたけれども、サンプルの平均値だということでありますが、今、金融庁の局長の答弁を聞いていて、単純なという言葉が何度も繰り返されました。単純な差だとか、単純な計算だとか、単純な議論だということであります。こういう単純な議論で大切な報告書をつくってほしくないわけですね。一方で、現実はやはり一人ずつ違うわけです。それぞれなんです。この単純だという整理と、人それぞれ違うんだという現実、このギャップが多くの国民の皆さんを不安に陥れたんだというふうに思いますよ。ここはしっかり反省してもらいたいというふうに思います。もう一つ気になる点があるんですけれども、それは、支出額について、これだと平均で二十六万と言っているわけですが、これがあたかも必要額だというふうに書いているように見えるわけです。現実はどうなっているかというと、私たちは、みずからの貯蓄額を見ながら、貯蓄の取崩しを今月はどのぐらいできるかな、ことし一年でどのぐらいできるかなと考えて、それで決めて、毎月の収入額にその貯蓄の取崩しを加える、その額が結果として支出額になるという話だというふうに思うんですが、これはあたかも、統計上の平均値、単純に計算したものが必要額だというふうに捉えている。これが大きな誤解を招く原因だったというふうに思います。収入額と支出額の差、引いた差、これを赤字額と称したわけですけれども、麻生大臣は、表現が不適切であるというふうに六月七日の記者会見で話しました。不適切だというのは、この赤字のことなんですか。どういう意味で不適切だというふうにおっしゃったのか、お聞かせください。」 「その上で、次に、もう一つの論点について聞きたいと思います。公的年金に関する記載について、端的に確認をしたいと思います。きょうは厚生労働省から上野政務官に来てもらっていますので、答えてもらいたいと思います。報告書の中に、二つ気になる記載があるんですね。一つは、二十四ページなんですけれども、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっていると。二つ目が、二十一ページなんですけれども、重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考えてみることであるというふうに記載があるわけです。これだけ見ると、年金が調整されていく、まあ、マクロ経済スライドですから所得代替率は下がっていく、実額がどうなるかということですけれども、年金が調整されていって、そしてお金はためなくちゃいけないというふうにも読めるんですね。このように書かれていることをもって、公的年金はその役割を放棄して、老後は個人の自助努力によって資産形成が必要、そこに委ねられているかのように受け取られている向きもあるわけですけれども、お伺いしたいのは、今回の報告書によって公的年金の意義や役割は何が変わったのか、教えてください。」 「それでは、次に、同じ趣旨の質問を金融庁にしたいんですけれども、公的年金に関する部分について報告書に利用したといいますか、記載した、その趣旨についてお伺いしたいと思います。」 「今、金融庁からは、公的年金制度そのものについて正面から議論していないという話でありましたけれども、印象を与えたということも事実だというふうに思います。大臣にお伺いしたいんですけれども、六月の十一日の大臣記者会見で、大臣は、世間に著しい不安というか誤解とかいろいろなものを与えている、これまでの政府のスタンスとも異なっておりますというふうに話されました。何をもって政府のスタンスと異なっているというふうにお話しになったのか、お願いします。」 「ここで、報告書案の審議過程についてお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、報告書というのは、ワーキンググループで案がつくられて、そして審議をされて、公表されて、その後、六月十一日には正式なものとして受け取らないとなったわけでありますけれども、この過程を金融庁からまず説明してほしいと思います。」 「まず確認したいのは、報告書の内容が、表現が不適切であったり、あるいはこれまでの政策のスタンスと異なる内容になっているということであります。これまで大臣はその理由についてお話をされてきました。この報告書の内容が、表現が不適切だったり、また政策スタンスと違うものがつくられたということなわけですけれども、これは、今の報告書の作成、審議過程の中で誰に責任があるんですか。」 「それでは、次に、正式な報告書としては受け取らないということを六月十一日の記者会見で大臣はおっしゃったわけですが、ここの点について確認をさせていただきたいと思います。この報告書は、大臣が金融審に諮問して、ワーキンググループで議論されて、公表されて、本来であれば、今後、金融審議会の総会に上程されるというのが段取りだったというふうに思います。それが、受け取らないという判断をされたわけでございますが、いろいろな議論がありまして、諮問した大臣が受け取らないということはどういうことなんだという議論もありますし、六月の四日、七日の大臣の記者会見とちょっと食い違いがあるんじゃないかという話もありますし、そしてまた、法令上、大臣がこういう報告書を受け取らないということが認められているのかという議論もあるわけです。私としてお伺いしたいのは、正式なものとして受け取らないというのはどういう判断だったんですか。これはどういうことなのか。そして、その上で、報告書は、公表されたわけですけれども、今後どうなるのか。撤回されるのか、あるいは、修正などの上、金融審議会の総会にかかるということも考えられるのか。正式に受け取らないとおっしゃったその判断と、今後の道行きについてお話しいただきたいと思います。」 「それでは、今の質問はちょっと事務的な部分もあったので、金融庁からも答弁があれば答弁してもらいたいと思います。」 「それでは、きょうの質問の一つ総括みたいな私の思いと、質問をしたいというふうに思うんですけれども、その後に大臣の考えを聞きたいと思うんですが。今回のことに関するさまざまな議論を聞いていまして、老後に対して、あるいは将来に対して大きな不安を抱いたという方が少なからずいる。この不安に陥れたことに対する憤りを持った方々もたくさんいらっしゃる。ただ、その一方で、国民の皆さんが、高齢化と金融についてもっと大いに議論したい、あるいはしてほしい、そういうふうに思っている部分が少なからずあるんじゃないかというふうに感じております。安倍政権では、二年前から人生百年時代構想というのを掲げて、さまざまな分野で高齢社会に対応する政策づくりを進めているところでございます。二年前、ライフシフトの本を書いたリンダ・グラットンさんという方は何をおっしゃったかというと、日本人の二〇〇七年に生まれた方の五〇%は百七歳まで生きるという調査結果を出されたり、あるいは日本の社人研の資料でも、現在六十歳の方は、五〇%は九十歳まで、また二五%は九十五歳まで、そして約一〇%が百歳まで生きるという推計も発表されているので、超長寿社会というのはかなり現実のこととなってきたというふうに思います。その中で、今回生じた不安を解決する、これは一生懸命努力しなきゃいけないし、また、誤解があれば、誤解を解くように徹底的に努力しなきゃいけない。それは政府にお願いしたいと思います。ただ、一方で、何らかの形で高齢化と金融のことについての議論もしっかり進めていくべきじゃないかというふうに考えるんですが、大臣の今後の対応、また決意をお伺いしたいと思います。」


→議事録全体を見る(国立国会図書館 国会会議録検索システムが別タブで開きます)

戻る