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希望日本賛同議員国会発言データベース

賛同議員の国会での各会議・委員会における発言がご覧いただけます。

(議員の所属政党は、委員会等での発言時のものとしています。

また、名前の前に※印がついている議員は、以前の賛同議員です。)

羽田雄一郎先生のご訃報に接し、衷心より哀悼の意を表します。

発言の詳細を表示します。


議員名玉木雄一郎(国民民主党)

2020年1月22日

委員会名衆議院 本会議


「私は、会派を代表し、政府四演説に対して、安倍総理に質問いたします。まず聞かなければならないのは、昨年末、IRに絡んで自民党の現職国会議員が逮捕されたことであります。言語道断であります。まず、このことについて、総理は国民の皆さんにおわびをし、疑惑にまみれたIR事業の推進を凍結すると宣言すべきではないですか。答弁を求めます。また、整備地域の選定基準を盛り込んだIR基本方針を今月にも決定するとのことですが、やめるべきです。あわせて伺います。八十六万四千人。昨年生まれた日本人の数です。明治三十二年に統計をとり始めて以来、初めて九十万人を割り込みました。私の生まれた一九六九年の出生数が百八十九万人ですから、約五十年間で百万人減ったわけです。二〇一七年、安倍総理は少子化を国難と位置づけて衆議院を解散しましたが、施政方針演説を聞いても、国難突破の本気度が全く感じられません。結局、選挙のときのキャッチフレーズにすぎなかったのですか。どうして子供が生まれないのか、産みにくいのか。もはや、従来の延長線上の政策を幾ら重ねても効果が上がらないことは明白です。私は、男性中心社会や大人目線、会社中心や経済優先といった旧来の価値観や社会のあり方そのもの、もっと言えば、文明のあり方自体を大きく転換していかなければ、今の流れを変えることはできないのではないかと思います。きょうは、具体的な提案も含めて質問するので、どうか総理、ごまかさずに正面からお答えください。まず、安倍政権は、二〇一五年、希望出生率一・八を掲げましたが、二〇一五年に一・四五だった合計特殊出生率は下がり続け、二〇一八年は一・四二にとどまっています。希望出生率一・八はいつまでにどのように実現するのですか。総理の認識を伺います。実は、夫婦一組当たりに生まれてくる子の出生数は大きく減っていません。少子化対策には、むしろ婚姻数や婚姻率をふやすことが極めて重要だと考えます。結婚したい若者が結婚できる環境を整えることが重要だと考えますが、総理の認識を伺います。安倍政権は、二〇一七年度までに待機児童を解消するという目標を既に三年先送りしています。しかし、待機児童は昨年四月時点で一万六千七百七十二人に上っています。待機児童ゼロの期限二〇二〇年度末が迫っていますが、本当に解消できるんでしょうか。実現時期が再び延期される可能性はないんでしょうか。総理の認識を伺います。また、幼児教育無償化によって、かえって待機児童がふえていると言われています。政府として実態をどのように把握しているのか、お答えください。先日、二十代の若い男性から相談を受けました。交際している女性から、姓を変えないといけないから結婚できないと言われたそうです。夫婦同姓も結婚の障害になっています。今、やじで、だったら結婚しなくていい、そういう話がありました。でも、結婚数や結婚率を上げていくことが国難突破の少子化対策になるんじゃないでしょうか。もはや、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけです。速やかに選択的夫婦別姓を実現すべきと考えますが、総理の見解を伺います。児童虐待によって亡くなった子供は、平成十五年から平成二十八年度までで六百八十五例、七百二十七人に上り、そのうち、ゼロ歳児の割合が四七・五%、中でも、生後すぐ、産声を塞がれて命を奪われた赤ちゃんが一八・六%と、実は虐待死の中で一番多いんです。先月、「こうのとりのゆりかご」を運営している熊本市の慈恵病院は、予期せぬ妊娠をして匿名での出産を望む母親について、病院にだけ身分を明かすことを条件に出産を受け入れると発表しました。子供が後に自分の出自を知る権利を病院が独自に保障する、事実上の内密出産です。ドイツやフランスには、匿名での出産や出生登録を可能とする法制度があります。政治家の家族観や宗教観もさまざまでしょう。しかし、母体の安全と子供の命を守ることが今何より重要ではないでしょうか。日本でもこの内密出産を認める法整備を進めることについて、総理の見解を伺います。一人親世帯の子供の貧困が深刻化しています。その要因の一つに養育費の不払いがあります。平成二十八年度の厚生労働省の報告書によれば、養育費の取決めを行っているのは、母子世帯で四三%、父子世帯は二一%にすぎません。さらに、取決めを行っていても、実際に受け取っているのは、母子世帯の二四%、父子世帯の三%にすぎません。そこで、私たちは、離婚時に未成年の子供がいる場合には、公正証書の作成補助など、養育費の支払いの取決めを締結することを支援していくべきだと考えます。こうした考えについて、安倍総理の見解を伺います。あわせて、兵庫県明石市などで導入が検討されている、行政機関が一時立てかえを行い、支払い勧告や給与の差押えなどを行う対応を、むしろ国全体で行うべきと考えますが、総理の見解を伺います。性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害し、長年にわたって心身に苦痛を与え続ける悪質、重大な犯罪です。昨年、被害者の意に反する行為であるにもかかわらず無罪となる判決が相次ぎました。今の刑法では、被害者の抵抗を抑え込む暴行、脅迫がなければ犯罪が成立しません。しかし、実際には、被害者が抵抗したくてもできないケースがあるんです。勇気を持って訴えて、同意のない行為だったと認定されても無罪になる。これは法の不備です。刑法の性犯罪規定の見直しを行うべきだと考えますが、安倍総理の見解を伺います。我が国では、男女の格差が縮まりません。ジェンダーギャップ指数二〇一九年度版によると、調査対象百五十三カ国のうち、日本は過去最低の百二十一位となりました。その主な原因は、企業の役員、管理職、また国会議員や閣僚における女性比率が低いことにあります。二〇二〇年までに各分野における指導的地位に占める女性の割合を少なくとも三〇%とする二〇二〇・三〇目標も達成できていません。二〇一六年の通常国会で、総理は、「三〇%目標を達成できる道筋を、この五年間でつけてまいります。」と答弁しました。あれから四年がたちましたが、いまだに二〇%にも達していない現状を総理はどう考えますか。経済、財政の悪化のしわ寄せは、特に若い世代に及びます。世代会計という試算があります。その試算によれば、六十代以上の世代は、社会保障など政府から受け取るネットの一生にわたる受益が約四千万円あるのに対し、逆に、今の二十代はマイナス一千二百万円、将来世代はマイナス八千万円以上になると試算されています。よって、世代間の格差は、六十代と将来世代を比べれば、最大一億二千万円以上にも達することになります。まさにこれは財政的幼児虐待とも言える現状です。こうした実態を改め、若者がもっと希望を持って生きられる社会にすることが政治家の責任ではないでしょうか。昨年、ポーランド政府は、二十六歳未満の若者の所得税を免除することを決めました。これをそのまま我が国に導入することにはさまざまな意見があると思いますが、徹底的に若者を大切にしようとする姿勢を私は高く評価しています。例えば、日本でも二十代の若者には所得税を免除するといった若者免税について、安倍総理の所見を伺います。若者の負担を抑えるためにも、高齢者医療の窓口負担の見直しを行うことは、私は理解できます。一方で、高齢者にとっては生活に直結する問題です。そこで、総理に伺います。七十五歳以上の高齢者に対する医療費の窓口負担を一割から二割に引き上げる場合、その対象となる人の所得は一体どの程度になりますか。今、全国の多くの高齢者がテレビを見ながら非常に高い関心を持って聞いておられるはずです。総理、ぜひ具体的にお示しください。ICT化とともに、子供の生活環境や学習環境にも大きな変化が生じています。私の地元の香川県では、子供がゲーム依存症になるのを防ぐため、子供のゲーム使用時間を制限する条例を制定する動きがあります。私は、eスポーツを国を挙げて進めている時代、過度な規制を行うべきではないと考えますが、こうした動きをどう考えるのか、総理大臣の所見を伺います。昨年は、台風十五号や十九号などにより、甚大な被害が全国で発生いたしました。被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、今も懸命に復旧復興に向けて歩みを進めている皆様に、私たちとしても最大限の支援をしてまいります。あわせて、東日本大震災からの復興を着実に進めるため、復興庁の設置期限延長にも取り組んでまいります。激甚化する自然災害の原因が地球温暖化と言われていますが、EUの欧州議会は、昨年十一月、気候非常事態を宣言する決議を可決しました。彼らは、もはや、気候変動ではなく、生存に対する差し迫った脅威と捉えています。我が国の二〇三〇年時点での自然エネルギーのシェア目標は、二二%から二四%です。しかし、これは、欧州諸国では既に達成してしまっている数字です。日本がもたもたしているうちに、世界ははるか先を行っています。世界で脱化石燃料と自然エネルギーへのシフトが急速に進む一方で、日本の石炭政策が国際的な批判の的になっています。日本も、政府と国会が、気候非常事態との認識を持って、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが掲げる気温上昇を一・五度以下に抑えるという目標に向け、法的、財政的措置をとるべきです。世界におくれをとっている脱化石燃料の政策が、ひいては気候非常事態につながるという認識が総理にはありますか。伺います。日本発の自然エネルギーのイノベーションについて伺います。農地に支柱を立てて、ソーラーパネルを設置し、農業と同時並行で太陽光発電、売電を行うソーラーシェアリングが世界的な注目を集めています。千葉県匝瑳市では、ソーラーシェアリングにより、市内の全世帯の一割に相当する電力が供給される計画です。売電収入で地元の若手農業法人を支援することで、移住者、新規就農者もふえています。五年前に比べ、耕作放棄地の五割が既に解消しています。世界におくれた自然エネルギーを伸ばし、農業の再生に資するソーラーシェアリングの有用性について、安倍総理の認識を伺います。日本が世界に比べて決定的におくれているのが、住宅における断熱、エネルギー性能です。ドイツのパッシブハウス基準と比べれば、日本の住宅は暖房のエネルギー消費量で六倍も違うと試算されています。それだけ化石燃料を無駄に燃やしているわけです。二十年以上前の断熱基準である改正省エネ基準を二〇二〇年に義務化する動きがありましたが、結局、見送られました。日本は、住宅における世界の断熱後進国です。安倍総理にこの認識があるか、まず伺います。特に、窓の断熱性能の低さが大きな問題です。日本の住宅で圧倒的に多いアルミサッシの窓は、樹脂サッシ、木製サッシと比べて断熱性能が実は一千倍以上も低いと言われています。欧州では木製サッシのシェアが三割以上の国もあるにもかかわらず、日本では木製サッシのシェアはわずか一%、しかも国内産の比率は〇・二%しかありません。日本の森林資源を活用して、アルミサッシから木製サッシへの転換を政策的に後押ししていくべきです。昨年、森林環境税及び譲与税が創設されましたが、いわゆる川下の都市部における木材需要をふやす観点からも、森林環境税、譲与税の使途に木製サッシの推進を充てることについて、安倍総理の見解を伺います。次に、農政について伺います。日本の農業の生産基盤が弱体化しています。農地面積は、昨年、四百四十万ヘクタールを割り込みました。この二十年で一割以上減っています。担い手不足、後継者不足も本当に深刻です。昨年の農業就業人口は百六十八万人。二十年前より五割以上も減っています。政府は、食料自給率を二〇二五年度にカロリーベースで四五%に引き上げる目標を掲げていますが、二〇一八年度は過去最低の三七%に落ち込みました。現行の食料・農業・農村基本計画は、産業政策と地域政策を車の両輪として進めてきました。しかし、攻めの農業を掲げる安倍政権のもと、実際の農政は、大規模経営や企業型経営を推進する産業政策に過度に偏っています。このことが、家族農業や地域政策を置き去りにし、生産基盤の弱体化に拍車をかけているのではないでしょうか。総理に伺います。また、生産基盤の弱体化とともに、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、地球温暖化防止機能といった農地の多面的機能、森林の公益的機能が著しく低下していると危惧しています。総理の認識を伺います。しかも、看板政策であるはずの農産品の輸出も、その伸びは鈍ってきており、安倍内閣が掲げる二〇一九年に農産品輸出額一兆円目標の達成は絶望的です。総理の見解を伺います。農地や農村を守るためには、私たちが法案として提案している農業者戸別所得補償制度のように、安心して営農継続できる直接支払制度を導入すべきです。その上で、食の安全を確保する農業生産工程管理、いわゆるGAPに取り組む農家や自然環境の保全に貢献する農家には、GAP加算などの加算措置を講じればいいんです。農地の多面的機能や森林の公益的機能を最大限発揮させる仕組みを組み込み、家族型農業や地域コミュニティーを育む地域政策に軸足を移していくことが重要です。今度の食料・農業・農村基本計画の見直しはそういった視点に立って行うべきだと考えますが、安倍総理の所見を伺います昨年十二月、政府は、六次産業化支援のための官民ファンド、A―FIVEを早期に廃止すると発表しました。A―FIVEは、二〇一八年度末時点で累積赤字が既に九十二億円まで拡大。それなのに、二〇一九年度の投資額を前年の約十倍の百十億円以上にして、その後も毎年度九十億円の投資を二〇二六年度まで続け、V字回復して回収するというむちゃくちゃな計画を立てていました。しかし、結局は廃止。安倍内閣は、官民ファンドを成長戦略の目玉と位置づけてきましたが、これは余りにもずさんではありませんか。誰が責任をとるのですか。総理に伺います。また、A―FIVEのほかにも、多額の累積赤字を抱えた官民ファンドがあります。そうしたファンドは全廃すべきと考えますが、安倍総理の見解を伺います。次に、経済政策について伺います。第十五回出生動向基本調査によると、結婚する際の障害として結婚資金を挙げた人が男女とも四割台で最も多くなっています。しかし、先ほど枝野代表の質問にもありましたけれども、実質賃金指数は、平成八年、一九九六年をピークに下がり続けています。消費が低迷したり、結婚や出産をちゅうちょするのも無理はありません。二十年以上、実質賃金指数が下がり続けてきた根本原因は一体何であり、何が最も有効な解決策だとお考えですか。民主党政権の批判ではなく、安倍総理の本質的な回答をお伺いしたいと思います。二〇一八年度も、帰属家賃を除く家計最終消費支出はマイナス〇・一%と低迷しました。経済成長率も、名目が〇・一%、実質が〇・三%、ほぼゼロ成長です。結局、アベノミクスでは、富裕層や大企業は確かに豊かになりましたが、働く人や中小企業にその恩恵が行き渡る、いわゆるトリクルダウンは起きませんでした。そこで、私たちは、減税と給付の組合せで、まず家計の可処分所得をふやし、消費を軸とした好循環をつくることで経済を回復させる、家計第一の経済政策へ大きくかじを切るべきだと提案しています。そのための財源確保策の一つとして、例えば子供国債を発行するなど、現在の公債発行対象経費を見直して、子育てや教育、科学技術の振興といった、将来の税収増や人口増につながる、いわば人づくりに関する支出については国債発行で財源を調達してはどうかと考えますが、安倍総理の考えを伺います。景気動向指数が昨年十一月に九五・一と、二〇一三年二月以降、低水準を記録しました。景気が低迷する中、昨年十月、消費税率引上げを強行したために、日本経済は更に苦境に立っています。その対策として、政府はキャッシュレスポイント還元制度を導入しましたが、昨年の予算審議の段階で既に、わかりにくい、不公平との指摘が数多く出ていました。事実、ポイント還元の対象となる決済の約六割をクレジットカードが占めていて、そして、カードは所得の多い人ほど利用しています。明らかに高所得者優遇の政策になっていますが、政府はこのポイント還元の利用状況を把握していますか。特に、所得階層別の一人当たりの還元額、総計は幾らか把握していますか。それを把握することなく、補正予算に予算を計上したり、当初予算に追加の予算を計上することはできないはずです。総理の答弁を求めます。昨年十一月中旬から十二月初旬にポイント還元事業補助金事務局が行ったアンケートで、ポイント還元があるから、消費税引上げ前に耐久消費財やサービスのまとめ買いをやめたという人は、たったの一割でした。消費税引上げ対策としての効果が薄かったことは明らかであり、事業の見直しを行うべきです。総理の見解を伺います。私たちは、家計を支援し消費拡大を図るため、所得税の減税と給付を組み合わせた給付つき税額控除を提案しています。我々の提案の方が、公平かつシンプル、しかも政策効果も明確で高いと思いますが、総理の見解を伺います。次に、外交について伺います。日米貿易協定は、結局、自動車・自動車部品の関税が撤廃されないまま、本年一月一日に発効しました。昨年九月の日米共同声明では、第二ラウンドの交渉を約束させられました。アメリカは、今後、自国の自動車・自動車部品の関税撤廃を先送りしながら、日本に対しては、さらなる農産品の市場開放や、サービス、金融、投資、保険、医薬品、医療品等の貿易上の障壁を主張し、自由化を求めてくることが予想されます。総理に伺います。日本は、自動車及び自動車部品の関税撤廃の具体的な合意なしに第二ラウンドの協議は行わない、総理の口からその旨明言してください。中国についても伺います。安倍総理が中国に自制を求めても、中国は、一方的な主張に基づき、平然と公船による接続水域あるいは領海への侵入を続けています。二〇一九年には、その数が過去最多となる延べ一千隻にも達しました。中国は、香港の自治権に関する問題やウイグルにおける人権問題など、非常に憂慮される事態を生み出しています。南シナ海においても、力による覇権主義を推し進めています。本年四月に中国の習近平国家主席が来日する予定と伺っています。しかし、安倍総理が国賓待遇で接遇することによって、中国に対して、そして世界に対して、日本の主権に対する挑戦を含め、中国の覇権主義、国際法や民主主義の基本的価値やルールに反する行動を容認するといった誤ったメッセージを送ることになりませんか。総理の所見を伺います。安倍政権は、ロシアに遠慮して、外交青書から、北方領土は日本に帰属するという文言を削除しました。そこまでしたのに、プーチン大統領からは、日ソ共同宣言にある二島引渡しの意思さえ全く感じられません。このままでは、二島プラスアルファどころか、ゼロ島マイナスアルファになってしまうのではないですか。安倍総理は、領土交渉を前進させるどころか、歴代の自民党内閣が過去積み重ねてきた交渉の成果さえ後退させてしまったのではないでしょうか。総理の所見を伺います。また、一昨年の首脳会談で加速させると合意した平和条約交渉についても、明らかにトーンダウンしています。一度、現在の交渉をリセットして交渉戦略を見直すべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。総理も言及されましたが、昨年秋には観光事業のパイロットツアーも敢行されましたが、長門合意で約束した、双方の立場を害さない特別な制度ができないまま共同経済活動だけを進めれば、結果として、ロシア側の実効支配を認めることになりませんか。肝心の特別な制度の設計は進んでいるんでしょうか。これは主権にかかわる重要な問題です。総理に明確な答弁を求めます。次に、憲法について質問します。安倍総理は、ことしの年頭の記者会見で憲法改正について、私の手でなし遂げていく、改正原案の策定を加速させたいと強調しました。しかし、昨年十月の予算委員会でも私伺いましたが、憲法九条改正を含む自民党の改憲四項目の条文イメージ案、特に九条改憲案には問題があり過ぎます。憲法審査会の審議を妨げているのは野党ではなくて、論理的整合性のとれていない九条改憲案にあるのではないですか。自民党の中にもさまざまな意見があるのではないでしょうか。憲法審査会での円満な議論のために……一旦、この条文イメージ案を取り下げてはいかがでしょうか。急がば回れです。総理の見解を伺います。次に、国民投票法について伺います。静かに聞いてください。議長、静かにさせてください。国民投票法について、国民民主党は、資金力の多寡によって国民投票運動に不公正が生じないようにするための独自の改正案を既に国会に提出しています。そこで、安倍総理に具体的にお伺いします。政党等のテレビスポットCM、そしてネット広告を規制すべきではありませんか。また、憲法改正に、とりわけ安全保障に関する条文に外国勢力の影響を排除するため、国民投票運動について外国人からの寄附の受領を禁止すべきと考えますが、総理の見解をあわせて伺います。昨年十二月二十七日に、政府は自衛隊の中東派遣を閣議決定しました。今回の中東への自衛隊派遣は、法的根拠が脆弱で、武力衝突に発展する可能性のある地域に向けたなし崩し的な派遣だと言わざるを得ません。何よりも心配するのは、日本が幾ら独自の派遣であると言っても、中東諸国から、アメリカを中心とする有志連合の一部と受けとめられる可能性があることです。私は、かつて外務省で勤務をし、中東やアフリカを担当していました。そのときに、日本がこれまで築いてきた中立的で友好的な中東各国との信頼関係は何物にもかえがたい外交資産であると実感をしました。これまで日本の先人たちが築き上げてきた中東における信頼を失う可能性もあります。総理に伺います。今回派遣された自衛隊が、ホルムズ海峡において、海上警備行動発令中、国又は国に準ずる組織に対して武器を使用しなければならない状況に陥る可能性はありませんか。その場合、憲法九条が禁じる武力の行使に該当するおそれはないのか、明確な答弁を求めます。十分な法的根拠を付与せず、危険な地域に派遣することは、自衛隊員の身をいたずらに危険にさらすことになりかねません。派遣するにしても、閣議決定ではなく、特別措置法を制定して派遣すべきだと考えます。一月十九日、日米安保条約締結から六十年を迎えました。日米同盟は日本の安全保障の基軸です。しかし、新たな世界秩序ができ上がりつつあるときに、これまでのアメリカ追随一辺倒の外交姿勢では、日本の国益を最大化できるとは思えません。トランプ大統領がパリ協定から離脱しても意見できない。唯一の被爆国でありながら、イラン核合意の破棄や中距離核戦力、INF全廃条約の破棄もとめられず、アメリカの反発を恐れて核兵器禁止条約にも署名しない。それで本当に日本の国益を追求できるのでしょうか。もっと主体的、戦略的外交を展開すべきだと考えます。例えば、中東情勢がかつてないほどに不安定化する中、世界唯一の被爆国である我が国だからこそ、イランの核のみならず、イスラエルの核も含めた中東全体の非核化こそ我が国が訴えるべきと考えますが、安倍総理の見解を伺います。足尾鉱毒事件で有名な田中正造は、今から百年以上も前に、真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべしと喝破しました。翻って現代の日本社会を見ると、山は荒れ、川は汚れ、村は廃れ、そして世界じゅうで人の命が奪われています。生活環境と自然環境が整ってこそ、安心して子供を産み育てられる持続可能な社会となります。そして、何より平和が必要です。今こそ、真の文明を政治が先頭に立って築いていかなければなりません。近代産業文明や過度なグローバル経済で壊れた日本列島と日本社会を回復させるための鍵は、子供、若者、女性、そして環境を重視する政策だと考えます。私たちは、こうした新しい価値観に基づく新しい社会像と政策を堂々と掲げ、他の野党会派の皆さんとも連携協力をして、自民党にかわる政権の選択肢となる覚悟です。東京オリンピック・パラリンピックの後の政治は私たちが担うんだ、その決意を申し上げ、私の代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。」


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