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希望日本賛同議員国会発言データベース

賛同議員の国会での各会議・委員会における発言がご覧いただけます。

(議員の所属政党は、委員会等での発言時のものとしています。

また、名前の前に※印がついている議員は、以前の賛同議員です。)

羽田雄一郎先生のご訃報に接し、衷心より哀悼の意を表します。

発言の詳細を表示します。


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議員名柿沢未途()

2020年11月19日

委員会名衆議院 安全保障委員会


「いわゆる接近阻止、領域拒否、A2AD能力の向上によって、アメリカ海軍にとっては、正規空母、また強襲揚陸艦、また大型水上艦艇、巡洋艦とかイージス艦ですね、こういうものが中国の攻撃能力によって脆弱性にさらされるのがアメリカ海軍の一番の今や懸案となり始めているわけであります。大きな正規空母を抱えていても空母キラーで一発でやられる、こういうリスクが実際に中国の能力増強によって高まってきているわけであります。そういう意味では、空母というのはアメリカ海軍のパワープロジェクションの中核になるものですけれども、今申し上げたように、空母打撃群、そして遠征打撃群、こういうもので密集して、そして艦隊運用をされることになるわけですので、敵から発見されて攻撃を受けやすく、また、被害を受けて機能を喪失すれば致命的な戦力低下につながる、こういうことがまさに懸念をされているわけです。そして、潜水艦の能力、戦力の低下も大きな懸念の一つでありまして、二〇二〇年代の終わりにかけて、攻撃型原潜、SSNが、二〇一六年ごろの五十七隻から、最悪で四十一隻まで減少が見込まれている。つまり、新型のバージニア級が旧型のロサンゼルス級をリプレースする、その退役のスピードに建造が追いつかない、こういうことで潜水艦の数が減っていくということが指摘をされています。片や中国は、この間、性能はともあれ、七十から八十隻の潜水艦の大艦隊を構築すると見られていて、まさに攻撃型原潜が中国のA2AD能力を打ち砕くこうした戦力であることを考えると、この海洋領域における事態は私は深刻になっているというふうに思います。このため、統合エアシーバトルとか、また統合作戦アクセスといった構想が米軍全体として示されて、アメリカ海軍としても、攻撃力分散構想、後にDMOになる、こうした構想が示されてきた。敵に発見されにくく、そして攻撃を受けにくい比較的小型の艦に高い攻撃力を持たせて、そして、分散運用をしてA2AD能力の脅威を克服する、こういう考え方が示されるに至ったということであります。このバトルフォース二〇四五では、攻撃型原潜を七十から八十隻に大幅かつ迅速に増強する方向性が打ち出されていて、これは、計算すると、これからバージニア級原潜を毎年三隻ずつ建造し始める、こういうことになる、これぐらい急ピッチでの潜水艦戦力の増強が今打ち出されているわけです。正規空母も、今の十一隻から、場合によっては八隻体制にこの正規空母が減らされる、これはまさに時代の大きな転換になり得るものだと思います。そのかわりに、短距離離陸垂直離着陸、STOVL機を搭載した軽空母、ライトキャリアを、また、新型強襲揚陸艦のアメリカ級、こうしたもの、今、第一号機というか第一号艦は佐世保にあるわけですけれども、十二機程度のF35Bを搭載したこうした軽空母等について増強する、これが六隻配備をされるということが想定をされています。また、水上戦闘艦についても、小型のものが今五十二隻の計画ですけれども、それが六十から七十隻の体制にやはり上乗せされるということで、アメリカ海軍は、その始まりとして、新型の誘導ミサイルフリゲート艦の九隻の調達を含めて、五十六億ドルの契約を既に行っています。攻撃型原潜の数をふやして、小型の水上戦闘艦や、また、後ほどお話ししますけれども、無人の艦艇、無人機、こうした数をふやすというのは、まさに先ほど申し上げた分散運用の形によって中国のA2AD能力に対抗するためということであります。これはまさに、今の中国のいわば脅威に対する対処の方法の転換を示しているというふうに思います。私は、どちらかというとエネルギー政策を専門にしていまして、自然エネルギー一〇〇%、RE一〇〇の日本をつくるということを言っているんですけれども、三・一一以降、原発や大型火力のような大規模集中電源が一発でダウンすると、やはりリスクが大きい、首都圏がブラックアウトしかねない、こういうことで、分散型の、ネットワーク化したエネルギー供給の体制、これを自然エネルギーで提供するということが、災害や、あるいは有事におけるリスクに対するレジリエンスになるということを、私自身もいろいろと発言をさせていただいてまいりました。戦争においても軍事においても、今や同じことが言えて、大きなものをどおんということではなくて、むしろ、小回りがきいて、なおかつ攻撃力が高い、こうしたものを分散的に運用するということがまさにトレンドになりつつあるわけです。しからば、アメリカ海軍の作戦、戦術構想、戦力構築構想の変化に対して我が国はどうなのかということをちょっとお伺いをしたいというふうに思うんです。現行の防衛大綱の別表によれば、海上自衛隊が目指す護衛艦の数は、イージス護衛艦八隻を含めて五十四隻、潜水艦は二十二隻、こういうことであります。もっとも、イージス・アショアの配備撤回に伴って、その代替として新型イージス艦を二隻ふやす、こういうことになっていますので、本年内にはこれを踏まえた防衛大綱の小幅改定が見込まれていると思いますが、別表の内容としては、イージス十隻を含む護衛艦で五十六隻、そして潜水艦二十二隻ということになるのだろうというふうに思います。ただ、防衛大綱の別表で護衛艦の数を規定するこのやり方に、私は、今若干問題が生じているのではないかというふうに思います。護衛艦といっても非常に今多岐にわたっていて、それは「いずも」や「ひゅうが」のようなものもあれば、先ほど申し上げたようなミサイルフリゲート艦、三千九百トン護衛艦みたいなものもあるわけですね。大型から小型のものまで、一律にこれを護衛艦ということで数を規定しているものですから、これは、運用する側の防衛省あるいは海上自衛隊の思考としては、数の上限に定めがあるんだったら、個々の艦の規模を大きくして艦隊の充実を図ろうということにどうしても傾きがちだと思うんですね。ですから、中国のA2ADの対応を想定した、小型で攻撃力の高いそうした艦を多数分散運用するという、この攻撃力分散の発想がなかなか採用されにくい、こういうことになっているのではないかと思います。結局のところ、海自の戦力構成は、別表の結果として、どうしても大型艦重視になりがちではないかと思います。例えば、ヘリ搭載護衛艦、イージス、そして汎用護衛艦、こういうものであります。私は、言っちゃなんですけれども、その象徴が「いずも」であり、「ひゅうが」だと思うんですね。そういう意味では、この護衛艦を一くくりにして、そして別表に示すというやり方によって、残念ながら、アメリカ海軍の構想に対して、海上自衛隊の今のあり方、あるいは将来の方向性というものに乖離が生じ始めてしまっているのではないか、こういう懸念を持っております。ですから、日本の海上自衛隊も、せっかく防衛大綱を小幅にせよ改定するこうしたタイミングがあるわけですから、小幅改定に終わらせずに、こうした構想を取り込んだ、より小型で攻撃力の高いこうした艦艇を導入する、多数導入する、こうした方向性を示していくべきときではないかというふうに思います。お伺いしたいと思いますので、御答弁お願いします。」


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