再生可能エネルギー導入促進を目指した国の施策を見直すため、FIT(固定価格買取制度)が改正されます。
2017年4月の改正によって、急増した国民のエネルギー負担額が下がるかどうかが注目されています。
そこで、今回は、改正FITの意味について解説してみます。
FITとはなにか?
FITとは、地球温暖化対策を目的に再生可能エネルギー導入を促進させるため、国が「FIT法」(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)を成立させ、2012年に導入しました。
ところが、この制度を導入したことによって、様々な問題が浮上しました。
このため、FIT法の改正が必要となったのです。
では、実際にどんな問題が起きたのでしょう。
大きく分けると、次の2つの問題が発生したといわれています。
- 国民負担の増大
- 太陽光だけに偏った急増
FIT制度の問題点
そもそもFITは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が高めの価格(固定価格買取)で買い取るよう義務づけることで発電事業への参入を促し、再エネを短期間で増やそうという仕組みです。
買い取り費用は「賦課金」として電気代に上乗せされ、広く国民が負担します。
その結果、国民負担の増大は、2012年度には標準家庭で月額66円の負担だったのが毎年倍々に増え、2016年度はなんと474円にまで急増した、とされています。
一方の太陽光は、風力や地熱などは伸び悩んでいるのに対して、太陽光は買い取り価格が高めに設定されていたことなどから事業者が集中し、再エネのおよそ9割を占めているといわれます。
ところが、認定を受けた事業用太陽光のうち、実際に発電されている量はまだ4分の1ほどしかありません。
買い取り価格は年々見直されて安くなっているため、価格が高いうちに認定だけとり、発電枠をとりあえず押さえ、設備を安く建てられるようになるまで待つ、あるいは権利を転売するような事業者があったため、といわれています。
改正FITで国民負担は下がるか?
では、こうした問題を解決するため、改正FITではどんな対策をとるのでしょうか。
まずは、市場原理の導入です。
事業用太陽光の買い取りに「入札制度」を導入、より価格の安い事業者から買い取れるようにすることで国民負担を抑制します。
また、認定制度を厳密化し、認定だけ取って実際には稼働しない事業者を減らしていきます。
これにより、2017年3月31日までに電力会社との接続契約が締結出来ていない場合には原則、認定が失われます。
では、こうした改正FITで本当に国民負担が下がるなど課題が解消するのか。
そして、そのうえで再生可能エネルギー導入がさらに促進されるのか、注目されているのです。