「一票の格差」一票の重みに違いが?!
衆院選の「1票の格差」を是正し、議員定数を10減らすための改正公職選挙法とその関連法案が5月20日可決され成立しました。
最高裁は過去の衆院選において、「1票の格差」が憲法の保障する「法の下の平等」に違反する状態だと判断していました(選挙自体は有効)。
小選挙区で議員定数を「0増6減」、比例代表では「0増4減」することによって、一票の格差の解消を目指します。
これにより、衆議院議員の定数は戦後最少の465議席となります。
具体的には、青森・岩手・三重・奈良・熊本・鹿児島の6県でそれぞれ1つ小選挙区が減り、比例区では、東北・北陸信越・近畿・九州の4ブロックで1議席減となっています。
ただ、小選挙区の区割り変更に時間がかかる都合上、衆院選で改正法が適用されるのは来年の夏以降となる予定です。
選挙における「一票の格差」とは
それでは「一票の格差」って何なのでしょうか。
まず、「一票の格差」とは、選挙をするときに選挙区(地域)によって一票の「重み」が変わってしまうことを指します。
例えば、A選挙区では有権者が100人いて、B選挙区には20人の人がいるとします。
そして、どちらの地区も1人の議員が選ばれるとすると、A地区は100人に対して1人の議員、B地区は20人に対して1人の議員が選出されます。
つまり、B地区の一票はA地区の5倍の重み(価値)を持つことになります。
これが「一票の格差」です。
わが国においては、憲法14条で法の下の平等を説いている以上、原則的に、一票の重みに違いが生じるのは問題だといえます。
「一票の格差」の問題点
さらに、一票に格差があると別の問題が生じます。
上の例でA、Bに加えてC地区があったとし、それらの人口を合わせて全国民であるとします。
C地区でも20人に対して1人の議員が選出されるとすると、C地区の一票も5倍の重みです。
その後選出された議員3人が国会で議決をし、多数決でBとCが賛成した法律が成立しました。
この場合、全国民140人のうち、半分以下の40人が支持した政策が実現したことになります。
このように、代表者を選ぶことによって、「全体の意思」と「選ばれた意思」とが全く違ったものになってしまうことが問題となるのです。
最後に
国会では、各国会議員が一人一票で投票して多数決で決しています。
国会議員の一票の価値は等しいのに、選挙区の国民の投票価値が選挙区間で不平等なのはおかしいといえるでしょう。
民主主義の根本の問題ですから、なんとか投票価値を平等とする選挙制度・選挙区割りにするよう話し合っていかねばなりません。